二番手は、高畑真澄氏。『うれしたのしCGパースの作り方』と題して、案件事例をもとにビジュアルをクリエイティブする楽しさ、「絵は言葉に勝つ!」というCGパースの魅力と強さを語った。
高畑真澄氏はフリーになって6年。スタートはCGパースだけだったが、顧客の「デザインはできませんか」「イラストは描けますか」「3Dプリンター使えますか」といった要望を受けることもあり「常に前向きにやりたい」と思っているという。
初めてのことになるべく挑戦するようにしており、そのひとつとして2017年春からオートデスクのAREA JAPANでチュートリアルビデオ『やさしい3ds Max -はじめての建築CG-』も担当している。
今日のために作成したムービーが再生された。
高畑氏は「うれしい」と「たのしい」というキーワードを提示。これは、高畑氏が仕事において大事にしているものだ。
高畑氏はまず「いいパースとは何か」という問いかけをした。これについて、会社員だった頃と独立してフリーになった今では、考え方が変わっているという。
会社員だった頃はフォトリアルなパース、小物が多いもの、ドラマチックだったり質感がうまく表現できていたり、そういったパースがいいパース、上手いパースと思っていた。しかし、独立してからは「お客さんが喜んでくれる」パースが一番いいパースだと考えるようになったそうだ。
たとえば、顧客が線画を求めていたら線画を描く、模型っぽいCGがいいならそういうものを作る、それがいいパースだということだ。
ここから、CGパースの作り方、ビジュアルは言葉に勝つ、CGパースの魅力と強さ、という3つのテーマで話を展開した。
一番目のCGパースの作り方。
高畑氏は、会社員だった頃は普通にCGパースが作れていた。独立してからも作れると思っていたが、そうではなかった。それは、環境が整っていなかったため。作り方の前段階の作る環境を整備することの重要性を感じたという。
ここで、一つ目の仕事の事例が紹介された。マンションのゴミ置き場。高畑氏はまずマンションのゴミ置き場を検索してみたが、そんなところ撮っている人はいないため写真が全然ヒットせず苦労したという。
高畑氏が出したのはオーガニック案とパステル案と、グラフィカル案の3案だ。なお、パース自体については、四角い部屋にダウンライトの光をPhotoshopで付けたり、フライパンもSketchUpから拾ってきたデータだったり、初心者でも作れてしまうものだとした。
高畑氏のパースは気に入ってもらえて、実際のゴミ置き場となった。設計者によって中に誰がいるか分かるモニターが付いたり、中にいい香りのするスプレーが備えつけられたりしている。
クライアントから完成した写真をもらえた事で、作成したパース以上に素敵なゴミ置き場になっていてうれしい気持ちになった。そして、この案件を通してゴミ置き場のことを考えるのが楽しくなったそうだ。
「レンダリングはどうやるんですか、モデリングはどうですかという質問よりこういうのを作りたいけど、どうしたらいいですかと相談する方がドンピシャな答えが返ってくる」と、この項を締めくくった。