2023年5月19日(金)に開催された「建築ビジュアライゼーションMeetUp第六弾」のイベント内の協賛会社:株式会社アルファコックス様によるセッション「Twinmotion2023.1 新機能紹介」についてご紹介します。
主催 :株式会社Too
協力 :オートデスク株式会社
株式会社アルファコックス
ミロ・ジャパン合同会社
協賛 :株式会社キャドセンター
株式会社丹青社
講師 :株式会社アルファコックス 南 初子 氏
セッション概要
今回講師を務めるのは、Twinmotionを担当している株式会社アルファコックスの南です。株式会社アルファコックスは、Twinmotionの販売代理店をしています。
登壇者紹介
これから紹介する『Twinmotion2023.1(以下、2023.1)』のリリースから約1ヶ月半ほど経ったため、先々週にマイナーバージョンである『Twinmotion2023.1.1』が公開されました。
しかし時間の関係もあるため、今回は2023.1に絞って紹介します。本日は建築ビジュアライゼーションMeetUpのため、建築向けの機能を中心に紹介していきます。
ユーザーインターフェースの刷新
まずは、「ユーザーインターフェースの刷新」についてです。2023.1でユーザーインターフェースが再設計されたことで、柔軟性と作業速度が向上しました。
大きな変更点は3つです。1つ目は、「ヘッダー、フッターの新設」です。ヘッダーでは、これまでドックの上にあったマテリアルピッカーなどのツールバーやEpicアカウント、ホームパネルへアクセスすることができます。
2つ目は、「パネル、ドックのインタラクティブ表示」です。ドックをインタラクティブに表示するアイコンが準備されたことで、ビューポートの表示領域を広げることが可能となりました。
従来ドックにあったインポートと周辺環境、メディア、エクスポートのアイコンなどはフッターに置かれています。
そして、画像中央部の水色の環境設定のアイコンは場所が変わり、右上のシーンパネルに置かれるようになりました。そして名前も「アンビエンス」に変わっています。
また、シーンパネルの下にあった「統計情報」や「トランスフォーム」、「シーンの状態」はパネル化されて、フッターの「統計」と「XYZ」、「表示セット」のそれぞれに配置されています。
3つ目は、「プロパティパネルの新設」です。これまでマテリアルの編集やアセットのプロパティの編集などはドックの上でやっていました。2023.1では、画像の黄色い矢印が指している右側のプロパティパネルに集約されています。
業界別テンプレート
次に、業界別のテンプレートについてです。業界別のテンプレートが用意されたことで、テンプレートを起点にプロジェクトを作成できるようになりました。
2023.1でTwinmotionを起動すると、画像右側のホームパネルと呼ばれる画面が出てきます。ホームパネルではプロジェクトの新規作成や既に作成してあるプロジェクトの編集ができるだけでなく、画像のように5つのテンプレートも用意されています。
建築向けには『Day & Night Skies』があり、建築向けのテンプレートになっています。Day & Night SkiesにはスカイドームHDRIを使用した静止画が既に準備されているため、3Dモデルをインポートするだけで24枚の静止画を作ることができます。既にTwinmotionを使っている方は1度アクセスしてみてください。
マテリアルの追加と改善
次は「マテリアルの追加と改善」です。マテリアルの追加では、ガラスマテリアルの機能が拡張されています。拡張点として、2つのシェーディングモデルを提供するようになりました。従来の半透明のシェーディングモデルに加えて、「色付き」という薄い半透明シェーディングモデルが追加されました。色付きのガラスは色の透過率が高いため、パストレーサーのレンダリングを行うと、画像上段の2つの画像のように色のついた影を投影することができます。
そのうえ、プロダクト向けとしてファブリックやレザー、プラスチック、金属に4Kテクスチャーを備えた78種類のマテリアルが追加されました。これらはクラウドで準備されているため、使用する際はダウンロードが必要です。プロダクト向けとして公開されていますが、建築やインテリアでも十分に使える仕上がりです。
また、「車用塗料」も追加されていて、車のカメレオン塗装やパール塗装、フレークなどの車体塗装特有のプロパティが用意されています。Twinmotionには元々自動車のアセットがありますが、こちらには適用できない仕様になっているため注意してください。
改善点としては、色補正のコントロールの追加でテクスチャの色補正ができるようになりました。それにより、彩度とガンマ、リスト、ゲインをそれぞれ調整できます。また、これまで反射は反射のプロパティで調整していましたが、2023.1では「ラフネス」に変わっています。
反射とラフネスは相反する意味合いのため、反射で75%という設定はラフネスだと25%という設定になります。この点が少しややこしくなっているため注意してください。
また、不透明度マップの使用により、他のマテリアルで使っているテクスチャファイルやマップのファイルを不透明度マップとしても使えるようになりました。
画像右側に並んでいる2つの画像の左側がアセットのプラスティックのマテリアルで、テクスチャのファイルを使用して不透明度マップにしたマテリアルが右側にある画像です。
次に、金属的質感の調整についてです。これまではONとOFFの調整しかできませんでしたが、2023.1では%で設定できるようになりました。上の画像に3枚の画像が並んでいますが、左から30%、60%、100%と金属的質感を調整しています。
それから「マップの反転」によって、ラフネスマップや法線マップの反転ができるようになりました。画像下段左側の画像の法線マップを反転させると、右側の画像のようなマテリアルになります。
このように、1つのマテリアルでもさまざまな表現ができるようになっています。
パストレーサーの機能強化
次は、パストレーサーの機能強化です。これまではデカールやハイトフォグはパストレーサーを実行すると表現できないため消えていましたが、2023.1で表現できるようになりました。
また、空の色や光の散乱など、大気のレンダリングの品質も改善されています。画像の左上の画像のツタは、『Quixel Megascans』のツタのデカールを使っています。結構簡単に使えるため、ぜひ活用してみてください。
そして、被写界深度内の透明オブジェクトをより物理的に正確な計算で表現できるようになりました。パストレーサーについては、これまでも「ハードウェアの制限」がありました。DirectX12と互換性を備えたGPUであること、および8GB以上の占有VRAMが必要だという要件がありましたが、今回はこれに加えて、GPUの型番まで制限されています。
NVIDIAのGPUであればRTXシリーズ、AMDのGPUであればRX6000以上という制限がついています。これまではNVIDIAのGTX1080やQuadroのP5000でパストレースが実行できていましたが、これらが使えなくなりました。
VR/OpenXR API対応
続いて、「VR/OpenXR API」です。2023.1のVRについては、VRデバイスが『OpenXR API』を介してサポートされるようになりました。OpenXR APIとは、さまざまなVR、ARプラットフォームでデバイスやアプリ上の仕様を標準化するための仕組みのことです。
そのため、あくまでも理論上ですが、OpenXR対応したVRデバイスをTwinmotionで使用できるようになりました。使う際には、デバイスアプリ側でOpenXRを使用する設定が必要になります。
上の画像はMeta Questの場合ですが、Oculusアプリで設定を変更する必要があります。アプリ上でOpenXRランタイムを使う設定にすることが必要です。また、追加のデバイスとして、VarjoのAeroとVR-3、XR-3の3機種が追加になっています。
Datasmithエクスポート
それから、「Datasmithファイルのエクスポート」によって、TwinmotionでもDatasmithファイルをエクスポートできるようになりました。Datasmithとは、CADやDCCツールからUNREAL ENGINE(以下、UE)にデータをインポートするための仕組みです。これによって、TwinmotionからUEへのワークフローが変わりました。
これまではTwinmotionのプロジェクトファイルである「.tm」ファイルを、UEにインストールされた「Datasmith Twinmotion Importer プラグイン」でインポートしていましたが、TwinmotionからエクスポートしたDatasmithファイルをUEで直接開けるようになりました。
このTwinmotionからUEへの連携については、まだ非対応のアセットもあるため注意してください。
リリースノート
他にも、今回紹介しきれなかった新規の機能改善がたくさんあります。実際に使用している方は、「Twinmotion リリースノート」と検索して、EpicGames社が公開してるリリースノートをご確認ください。
建築ビジュアライゼーション MeetUp第六弾 ラインナップ
- 01.Twinmotion2023.1 新機能紹介(アルファコックス) ←今ここ!
- 02.オンラインワークスペースMiroのご紹介(ミロ・ジャパン)
- 03.BIMの活用で実現した緻密で複雑なアートワーク(丹青社)
- 04.フォトリアル3D都市の構築とその未来は(キャドセンター)