石井雄太
株式会社 日建スペースデザイン デジタルデザインチーム テクニカルマネージャー
日建スペースデザインは、インハウスのデジタルデザインチームを持つ、インテリアデザインのプロ集団。
このコラムは建築ビジュアライゼーションに携わるスペシャルな方に、お話を聞いてみよう!というコーナーです。
2話目は日建スペースデザインのデジタルデザインチームについて聞いていきたいと思います。
デジタルデザインチームとは?
そうだそうだっ!石井さんの肩書!かっこよくて気になっていた【デジタルデザインチーム】について教えてください!
弊社の場合は、ビジュアルに重きをおいたチームです。1つの手段にとらわれずにデジタルツールを使ってデザインするチームです。 3DCGから写真撮影、動画撮影、VR、モーショングラフィックスなど領域を拡張しながら常に変化し続けることを心掛けています。毎日が成長期です!
なるほど~!表現の方法をCGにとどめず、様々なツールや手法を取り入れて進化している集団ということですね!最近は本当にツールが多すぎて…リアルタイムレンダリングできるソフトも続々と出てきているので、どれを使ったらいいのか私はてんやわんやです。
その辺も、社内SNSを使って最新の情報を東京、大阪のチーム間で共有しています。 また、セミナーやイベントのレポートなども社内SNSにアップしたりしています。
さっきのモーニングルーティンの情報たちもですね!ちゃんとチームで情報を共有しているのが素晴らしい~。
そこでチームで共有した新しいツールなどは、相談して検証したりしています。
やはり波がある仕事なので、忙しい時はずっと作業してますし、朝からミーティングがある時もあるし、1日の動きは様々なんですけど…。デザイナーとのキャッチボールをしている中で、ボールを投げたあとなどは時間が出来るのでリサーチ・共有をしたり、ソフトの検証をするようにしていますね。
情報を収集するだけしておいて、なかなかアウトプットまで至っていない事も結構あるので…
隙あらば実際にプロジェクトで使えるのかとか、新しい新規ビジネスに生かせるんではないかとか…リサーチと検証を繰り返してます。
※LUMIONで制作された動画の1シーン
※木や植物を生成できる3ds MaxのプラグインForest Packで、
シャンデリアやイクラをつくってるんだって。おもしろいー!
広報の方がおっしゃっていましたが、技術やツール検証などのお話をしている時はまるで少年たちのようにはしゃいでいるらしいです。夏休みにカブトムシ見つけた時の感じですね。俺こんなデカイのGETしたぜ~と見せびらかし合うやつですね!でもちゃんとカブトムシのいる場所を教え合えるってすごい~!ハートフル♡
デジタルデザインチームの働き方
デジタルデザインチームは何名いらっしゃるんですか?
日建スペースデザインは国内では東京、大阪、名古屋に拠点があって、デジタルデザインチームは東京6名と大阪6名の合わせて12名が在籍しています。
12名でプロジェクトごとのチームに分かれるんですか?
基本的には東西で別の案件をやっています。プロジェクトによりけりなんですけど、大きなプロジェクトで様々なシーンがある時は担当を分散させてって感じです。ケースバイケースなんですけど。
同じ案件で担当を分散させてしまうと、シーンごとに大きく雰囲気が変わったりはしないですか?つくり手が違うので技術の差が出てしまうなど
フォーマット!??マテリアルやライトとかレンダリング設定とかですか?
カメラの数値もですね。フォーマット化して共有しています。レンダリング設定、カメラ、ライトが入った同じデータからみんな制作をスタートしてます。
基本的にみんな同じ絵が作れるようになってるってことですか?
そうですね。そうなるようにここ数年でフォーマットを全部整理していて。レイヤーの命名規則、レンダリングの設定、カメラの設定、HDRの数値設定、Photoshopのレイヤーのつくり方からすべて徹底してルール化をして、誰が作っても同じ作り方になるようにしてます。そうすると設定におけるタイムロスも減るし、引き継ぎもスムーズなので。
すごーい!!フォーマットはみなさんで話し合われて作ったんですか?
ある程度ベースは僕が作って、みんなには理由を説明して提案して、それに対してもらった意見を取り入れていきました。一定期間使ってみてこうしたほうがいいんじゃないってことがあればその都度アップデートしていっています。
ほぇ~!!レタッチはどのくらい時間かけるんですか?
ほとんどかけないです。インテリアはスパンも短いし、インハウスならではだと思うんですけど修正の量が半端じゃないんですよ(笑) 1枚の絵に1週間で10回くらい修正があったり!その都度、毎回レタッチしていくとものすごい時間がかかってしまうので。弊社の特殊な所だと思うんですけど、最低限のレタッチで伝わるビジュアルを作ってます。
そうなんですよ。ある意味高等技術をみんなに押し付けていると思います。だけどフォーマット化することで、意外とみんな出来ちゃうんですよね。
つまり私もこの絵がつくれるってこと!?凄すぎ!!デジタルデザインチームに入りたい!石井さんの技術ほしい!!
石井さんの話に大はしゃぎ!フォーマット化とルールを徹底して途中でデータを引き継いでも問題ない環境を確立!しっかり共有できているので一人が膨大な作業量を抱え込む事もないですね!アフター5も充実~
でも、結構そうゆう知識とか技術を隠したがる人もいるじゃないですか?
それやっちゃうと技術って発展しにくいかなって。やっぱ1人より2人だし、2人より3人だし…。
確かにこれだけツールがあるから、必死に技術をかくして閉鎖的になると孤立していってしまうかもしれないですね。どんどん共有して情報公開して行かないと難しいかも…
きっと難しいですよね。世の中がそういう流れだと思うんですよね、今。情報を共有していかないと、世の中が成長しているのに自分たちは成長してないって感じになりそうで。それでここ1~2年かな、モーニングルーティンをするようになったのは。
今回の取材を承諾していただいた際もそのあたりのことおっしゃってましたよね。
そうですね。会社とかも関係なくオープンにしていけたらなって。
ありがたいですー!他社のこと、なかなか知る機会がないので。
あとは多分年齢的なこともありますね。チームが若いんですよね。僕が最年長なので、年上だからできることって多分あるんです。年上の人が率先して働きかけていく、そうゆう姿勢を若い子に見てもらえば、みんな自然にオープンになっていくと思うんです。年上が何もやらないとちょっと…ダメじゃないって(笑)
その心がけが素晴らしいですーっ!チームの方はおいくつくらいですか?
石井さんって雰囲気も柔らかいし、きっと色々言いやすいし色々聞きやすいじゃないんですかね。
みなさんお話しされてる感じ仲良し(笑) フラット!
なんか仕事の話してる様子もゲームで裏技見つけたぜっ!て感じのウキャウキャ感でてました!
そうそう(笑)そんなノリですね。こんなの見つけたぜ~!って
※広報の方にキラキラ少年ぶりについてを暴露される石井さん
うまく効率化して働けてるから、自分の興味ある事を追求出来たり、リフレッシュできる時間も取れているんですね。それがないとやっぱ大変ですよね。
ルーティンになっちゃうとどうしても新しいことというか、好奇心がなくなってしまい、こなし作業になってしまうんです。なるべく新しいことにチャレンジするような環境を作っています。
石井さんはあまり焦ってるとかイメージできないですね。
いや、焦ることありますよ!焦ってますよね!?僕!(広報の方に問いかけ)
きっと心は焦ってると思いますけど、なるべく表に出さないようにしてるんだなと感じます。石井さんが焦ってるということはチーム全体が忙しく厳しい状況にあるということなので。先ほどもお話が出ましたが年上なので自分は静かに落ち着いて謙虚でいようという姿勢のあらわれでしょうか。私は石井さんの近くの席に座っているので、そう思って拝見しています。
意識的にしてますね。やっぱり一番年上が模範的にならないと。
自分の理想の年長者を演じようって思っています。なんか今日大それたことばっか言ってる(笑)
一級建築士で設計のことも良くご存じですし、インテリアデザインの舞台裏のこともご存じです。どんな光を当てたらどんな効果が生まれるのか理解しているので、最終的に表現したいビジョンを持てるんですね。そういうビジョンを持てることが多分すごいんだと思いますし、チームのみんなにもちゃんと共有出来ているのが素晴らしいです。
CGに建築士の肩書が重要なの??なんのっこちゃと思った方もいるかもしれません。肩書ではなく、現場を知っているという事がビジュアライズする際、ものすごく重要なんですよね。図面やスケッチから3Dを起こすには、やっぱり細かいディティールを知っておくべきですし、収まりを分かっているのといないのでは作業効率はもちろん表現の幅が変わってきます。しっかり経験を活かして糧にされてるの尊敬します!石井教に速攻入信しました!
自分が頑張って見つけたものとか培った知識を教えるのを嫌がる人もいると思うんですよね。だけどデジタルデザインチームの方たちは、そこをオープンにして、新しいことにチャレンジすることで次のステージを切り開いてるんですね!萎縮や強制がなく、個々がのびのびと技術をあげていくことでみんなも成長していける、石井さんのチーム作りすごいですよね!
インハウスでのプロジェクトの進め方
次は石井さんがどうやって仕事進めているか聞いていっちゃお~♪
日建スペースデザインさんではインテリアデザイナーもFF&E(Furniture Fixtures and Equipment)デザイナーもCGデザイナーもいらっしゃるので、基本社内でプロジェクトを完結されています。
今回は特別にシニアデザイナーの大橋怜史さん(左)とFF&Eチーム シニアマネージャーの鈴木結子さん(中央)にもお話聞いていきたいと思います。CGデザイナー以外の方に色々お伺いできるのはなかなかない機会なのでドキドキです。
早速で申し訳ありませんが…私、FF&Eデザイナーさんという職業を始めてお聞きしたもので…。どういった事をなさっているのでしょうか?
主に家具を専門としたデザイナーで、カラーのトレンドやファブリック、マテリアルのトレンドなどを抑えながらデザイナーと一緒に家具を選んでいくということをしています。
基本的にはFF&Eチームと一緒にプロジェクトを進めています。プロジェクトによってはFF&Eチームの複数のメンバーに関わってもらうこともあるし、デザイナーだけで済ませてしまうこともあります。物件の特徴にも寄るのでケースバイケースですね。
案件の混み状況にもよりますね。あとたまにイメージ違うと言われることもありますが、私たちも良いものを作りたいので、デザイナーとはフラットに意見を出し合ってプロジェクトを進めています。
なるほど~。家具などは様々な種類があると思うのですが、空いた時間などに流行や新作の情報などをチェックしているのでしょうか?
それは常に!仕事とか関係なくリサーチして情報を仕入れています。設計デザイナーもそうですけど、トレンドなものや新作とか見に行ったり、メーカーさんにヒアリングしたりしています!
FF&Eチーム シニアマネージャーの鈴木結子さん
インテリア事務所の特徴として、FF&Eデザイナーもいらっしゃるのよ!
お恥ずかしながらFF&Eデザイナーという専門のお仕事があることを始めて知りました。
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