建築ビジュアライゼーション情報サイトKviz.jpにて、新しく学生さん向けの企画が発足!
題して、『学生さん!あなたのポートフォリオ、添削します♪』!
業界のプロを先生にお迎えし、学生の皆さんが作ったポートフォリオ作品を、オンラインで指導・添削いたします!
今回は、高畑真澄先生をゲストに、学生の高橋 淳さんの作品を添削いただきました。
お二人のプロフィールは、こちらの記事からご確認できます!添削の前談になる話が書かれていますので、ぜひお読みくださいね!
- プロフェッショナルにアドバイスをもらおう – 添削にあたり、高畑真澄先生から「建築ビジュアライゼーション業界に就職するための入口と知るべきこと」
- ポートフォリオ添削 vol.1 – 横田 芙実子さん「A FISH」
- ポートフォリオ添削 vol.2 – 横田 芙実子さん「Tower」
- ポートフォリオ添削 vol.3 – 高橋 淳さん「Kitchen Room」 ←今ここ!
高橋さんには、次の作品を提示していただきました。
タイトル:『Kitchen Room』 by 高橋 淳さん
まず、高橋さんより、この作品のコンセプトについてうかがいました。
「この作品では、雑誌『モダンリビング』にあったキッチンルームの写真をアレンジして、CGパースを作成してみました。
誌面上の写真は、自然光があまり差し込まない空間で、ライトも奥のエリアを照らしているのみでしたが、僕は天井から太陽光の差し込みを合成する形で表現したかったというのがあります」
添削&評価のポイント紹介
それでは、これより高畑先生の評価に入ります。
高橋さん、宜しくお願いします!
まず、評価したい点からお伝えしますね。
①丁寧なモデリング
細部までしっかりと作り込まれていますね。
モデリングがとても上手で、楽しく作成した様子が汲み取れます。
②明るい色彩と光量
作品全体が明るいので、見ていて気持ちが良くなりますよね。絵が明るいというのは、住みたくなるということもあるので、素晴らしいです。色もバランスがとれていると思います。
インテリアのデザインでは、「その家に住みたいかどうか」という判断が重要になります。例えば、お部屋をリフォームする際には、壁紙を変えるだけで住みたい!と思えたりするのと同じです。
改善のポイント
一方で改善点についてです。
ガイドを用いて、パースの歪みを確認しよう
さて、ビジュアルの改善点に入ります。
まず、参考にした写真ですが、このお部屋は四角形ではない事に気づいていましたか?
こちらの写真にPhotoshopでラインを引いてみると、床が平行ではなく、かつ曲がっていることに気づきます。窓枠のところのピンクの壁の側面にも違和感がありますね。
今度は、高橋さんの作品を見てみましょう。こちらにガイドラインを引いてみると、真ん中のガイドライン①の下の両開きの棚は真っ直ぐと捉えた場合、左のガイドライン②は真っ直ぐになっていません。同様にガイドライン③にあたる窓のサッシに歪みが生じていることに気がつきます。
設計者としては、気になってしまう部分です。おそらくこれは、配置したカメラの設計にある「あおり補正」が効いていなかったためではないか、と思われます。
レンダリングをかけ直せる状況の場合は、あおり補正にチェックを入れてみましょう。
設計者は、パースをみるだけで実際の数字が読めるものです。ですから、正しいパースを作らないと、相手を混乱させてしまうことになります。
設計者の目『キラーポイント』を抑えよう
歪みのチェックも含めて、設計図を作る際には、何も条件が指定されていない場合でも、抑えておくべきキラーポイントというのものが存在します。良くある建築設計の指示・確認点になるので、覚えていきましょう。
まず、木目の縦と横は、チェックしてください。自然の材質であるが故に、違和感を与えてはいけません。
また、背景と同化しているパーツは、はっきり目立たせましょう。今、キッチンの上のライトが、壁と同化してしまい、存在価値がないものになります。普段はこうした細かいパーツは、魅せるために存在します。
さらに、右側の黄色いテーブルの奥にあるコーヒーカップですが、こちらサイズが小さすぎます。小さいスケールになる場合は、置かないようにしましょう。
目立たせるべき場所は、白黒にして確認を
さて、このCGパースはどのあたりが一番目立ちますか??
今は、右上に配置された植物の緑ではないでしょうか。
見せたいキッチンよりも、植物の葉っぱが浮き出てしまっているのです。そうすると、タイトルにもなっているキッチンに目がいきません。
また、この植物の生い茂っている表現が、窓のサッシも隠してしまっています。ほんの少し、右に配置するだけで変わってくるかと思います。
目立っている場所を確認する方法でおすすめなのは、『白黒にしてコントラストを際立たせてみる』ことです。
白黒にしてみるだけで、濃淡を確認することができます。
そして、できればこの植栽の素材も、葉の少ないものに変更しましょう。
何を見せるべきか、がポイント
私たちCGパース屋の仕事は、設計者からリクエストされたものを描くことが大半です。その時、自分で見せたいものを前に出そうと、デザインしてしまうと
設計者から頼まれた依頼を無視してしまう事になります。
実は、隠してもいいものと、見せるべきものがあります。例えば、デザインが決まっていない場合、あえて隠したりもします。
高橋さんが、得意のモデリングで、いろんなパーツを制作したり、配置した事は間違っていませんので、あとはそれを含めてどう「全体的に良くみえるか」を意識していきましょう。
After – 添削後の作品改善
高畑先生のアドバイスを経て、高橋さんが改良したバージョンがこちら!
高橋さんに、改善時のポイントを解説していただきました。
総評 – CGパース屋さんの視点と、設計者の視点を捉える
最後に高畑先生より、総評とメッセージをいただいております!
お疲れ様でした!高橋さんの作品も、とても良かったです。すごく力作であることが垣間見えました。
動画での解説も、修正前と修正後で見比べる事ができ、解説もわかりやすかったです。
日射しの入れ方や、添景の修正、ガラスの映り込み、カーテンのモデリングなど、色々と修正しましたね。自分の伝えたい事を形に出来ていると思いますよ。
また、キッチンに目が行くようになったのが一番褒めたいところです。
今回、気に入ったキッチンを、同じようにCGで制作してみた事が高橋さんにとって良い勉強課題になりました。
自主制作の作品は、イメージが先行してしまい、自己満足になりがちです。ですので、初心者の方は、改善ポイントに気がつかない場合があります。
そんな場合、練習課題としておすすめなのが「模写」です。 建築写真(外観・内観)の模写であれば、その写真のプロの形(アングルや ライティングなど)を捉えることができるのです。
今回は、そこにアレンジを加えたのが、高橋さんの良さを引き出せましたね。
一緒に参加された横田さんより、「パースをみたときに、どういう人が使っているのか、誰が住んでいるのか生活感などから想像できた」というコメントをいただきました。
とても良い視点であり、それは「絵」として成立しているからこそ、その背景や文脈を知りたくなるのです。
今回の高橋さんの作品には、「ペットを飼っている(置き物から)」「子供がまだいない」という家族の背景が見えてきます。そうした要素を残しておくことで、説明がなくても、絵で伝わったと思います。
見せたいもの・整えるべき箇所をしっかり表現できるようになれば、更に成長されると思いますよ。
今後、期待の人ですね!楽しみです!
高畑先生、ありがとうございました!
学生の皆さん、ぜひ参考になさってください!
おわりに
建築ビジュアライゼーション業界に就職したい学生の皆さん!
皆さんの作品を募集しております!詳しくは、Kvizまで、お問い合わせください^^ お待ちしております!
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