前回、BEAVERのサービスについて紹介をしたのですが、話せば話すほど、伊藤さんご自身とそのキャリアが気になって気になって・・・・
ということで、学生の時からパース制作事業を立ちあげ、今は、建築系スタートアップArchiTech株式会社を経営している代表取締役:伊藤拓也さんを深掘りしていきたいと思います!
伊藤さん、引き続きよろしくお願いいたします!
- 第一話 建築学生のためのポータルサービス『BEAVER』をご存知ですか?
- 第二話 建築系スタートアップ『ArchiTech株式会社』× 建築業界によるDXの取り組みとは?←今ここ!
自分が欲しいと思ったサービスを自らつくるなんて、本当に素晴らしい行動力ですね!
なにより課題設定力が素晴らしい!伊藤さんだから気づけた、そして行動できた要因って、なんだと思いますか?
僕自身、学部生の間にかなり広く業界を見れたことが大きいですね。
1年生の時に安藤忠雄さんの設計事務所のアルバイトをしていたため、アトリエ系トップの現場をみることができました。また、その裏でコンクリートの型枠工の会社で現場でのアルバイトも経験しました。そして、3年生の時に不動産のインターンとハウスメーカーのインターンに参加し、自分でもパース制作の事業立ち上げました。
ふむふむ。学生のころから俯瞰的に業界をみることができたんですね。
そうですね。例えば、同期の間で「設計に行きたい」「施工管理はちょっと嫌だな」という空気感があったんですが、1年生の時に現場のバイトをしていたので、そこの解像度がみんなと違ったんです。施工管理は施工管理ですごい面白みがあるということを知っていたので、もし仮に就活をして、施工管理に配属されていたら、きっと、施工管理に対して課題をもって楽しくやれていただろうなと思っています。
今は、一プレイヤーとして就業していない、かつ学生でもない立ち位置だからこそ、両方をフラットに見れるところが、もしかしたら自分の強みかもしれませんね。
伊藤さん・・・伊藤さんの経歴を私の理解のためにいったんまとめさせてください(笑
2014年4月 | ・京都大学進学 ・安藤忠雄建築研究所にてアルバイト ・コンクリート型枠工の会社で現場のアルバイト |
---|---|
2016年 | ・某不動産にてインターン ・某ハウスメーカーにてインターン ・THE PERSにてパース制作事業開始 |
2017年4月 | 大学院進学とともに休学 |
2018年5月 | BEAVER MEDIAを立ち上げる |
2018年11月 | 株式会社THE PERS(ザ・パース)を設立 BEAVER開始 |
2019年6月 | 株式会社THE PERSからArchiTech(アーキテック)株式会社に社名変更 |
2021年4月 | BEAVER CAREER開始 |
物凄い経歴ですね・・・
THE PERSからArchiTechに社名変更をした経緯を聞かせてください。
THE PERSはもともとパース制作が事業の中心だったんですが、法人化をし、パース制作に加えて、学生向けにBEAVERを立ち上げました。BEAVERの事業がどんどん大きくなり、またその先の事業展開を考えたときに「パース」を冠した社名を掲げ続けるのは違うなと思い社名を変更しました。
なるほど~。なぜArchiTechという会社名にしたのですか?
ArchiTechは『Architecture Technology』からきています。今、建設テック『Construction Technology』という言葉はかなり流行っているのですが、もともと意匠設計をやっていた人間からすると、カバーしてほしいところがカバーされていないので、どうしてもピンときませんでした。『Architecture Technology』のほうが、カバーしている範囲が広いし、僕らはArchitectureに関わる全領域のTechnologyに対して、問題意識を持って働きかけていきたいと思っています。
ArchiTechの事業内容を教えてください。
パース制作、建築CG動画、BIMモデル制作受託全般、そしてBEAVERの運営です。
「愛される建築をテクノロジーの力で」というビジョンに込められた想いを教えてください。
IT化しましょう、効率化しましょうと「経済合理性」だけを追い求めてDXを推進するのは目指したい形ではありません。建築は、そうした合理性と同時に人々に長く愛され、利用され続けることを追求する必要があるからです。テクノロジーによって実現されるべきはなんなのか忘れないためにも「愛される建築」という言葉をビジョンにいれました。
建築業界のDXを進めたいということですがどのようなストーリーをお考えですか?
今は、「学生を教育し、社会に送り出していくことでボトムアップ的に業界のIT化を促進する」というストーリーでやっていますが、次のステップは「直接的に企業さんのDXにも踏み込んでいく」ことをやっていきたいです。
個人に対しては、建築業におけるライフサイクル(学生、就活、転職、独立、サービス、人材など)の各接点で関わって行きたいですし、企業に対しては、DXの各ステップを、すべて支えられるようなサービスをもちたいです。
ほ~、凄い!建築業界に関わる個人に対しても企業に対してもTechnologyを軸に関わっていくというイメージですね!
そうですね。例えば、企業向けの人材サービスを提供し、その延長で人材面から技術面まで総合的なコンサルティングを行うというのがわかりやすいサービスかもしれません。
・どの企業にどういうスキルを持った人がどのくらいいるのか見える化したり
・この企業に新しい人が3名入った。いま組織内にはこういうスキルをもっている人がいるから、このソフトを導入したほうが良いね
・ソフトを導入してから運用までが一番時間かかるので、ハンズオンなど一緒に伴走しながら既存のワークフローとうまく融合させていきましょう
・最終的にこんなスケジュールで新しいワークフローに移行していきましょう
といった内容をTechnologyの力で行えればと思っています。
また、一つの企業内で収まる必要はないと思っています。つまり、こう変革したいという企業がいたときに、その分野に強い会社を僕らは把握し見つけられるので、ここと組みましょうということもやっていけると思っています。
建築業界のDX化で必要なこと
このままではいけないよねという共通の危機意識が今、建築業界にはあるかと思います。
業界全体がDXしていく時に、どこに問題の種があり、どういう順番で、どれを紐解いていったら前に進んでいくのか。業界全体の中での自分の立ち位置を意識しつつ、自社で全て解決できないものは、その分野に強い会社をマッチングする。そういった働きかけができればと思います。
スタートアップからはじめた利点はありましたか?
建築をやっている伊藤拓也とスタートアッパーとしての伊藤拓也、どちらの顔ももっていることが評価されることがあります。
ぼく自身常にインプットし続けたいという意識があるので、今、とても恵まれた立ち位置にいるなと思っています。幅広く学生とのコミュニケーションが取れますし、さまざまな設計事務所や企業の方とお仕事ができ、さらにスタートアッパーとして同年代の他業種の仲間とも話しができます。いろいろなところから常に情報が入るため、そこから生まれるひらめきもあるかと思います。
スタートアップからはじめられたことで、異なる業界の方ともコミュニケーションする機会が多いんですね!
そうですね。建築業界の前提知識のない方に対して話すことも多いですね。5分のプレゼンで、ストーリーが分かるように、且つ共感してもらえるようにしゃべらないといけないので、自分の思考を常に整理し、俯瞰的な目線を忘れないようにしています。
建築業界を変えたいという大きな目標を掲げながら、建築のみに両足つっこむのではなく、建築が分からない人の視点に片足を踏みいれておく必要があるんです。
伊藤さんは経営に関してどのように身に着けていったんですか?
大学の先輩が立ち上げたパース制作事業を1年後に引き継ぐ前提でTHE PERSの事業をはじめました。1年間で先輩の事業のやり方を盗ませていただき、その後は自分で事業をやりながら、うまくいっていないところは調べての繰り返しでした。また、2018年11月に起業したタイミングで、OSAP (OIHシードアクセラレーションプログラム)というスタートアップ支援プログラムに応募し、審査がとおり、約半年間メンターがつきました。事業計画のブラッシュアップであったり、投資家や大企業とのマッチング会、プレゼンテーションなどを通して学んでいきました。また、資金調達のために動くことも多く投資家さんとのコミュニケーションの中で学ぶことも本当に多くあります。
ビジネスの土台を何にするのか、どのように設定していったんですか?
先ほど、まずは学生に対してのサービスを提供し、次のステップとして企業のDXに踏み込んでいきたいと話しました。
実はもともと、次のステップとして掲げていた「企業のDX」から事業計画を立てていました。ただ、実務経験もない、企業との繋がりがない、お金もないということで、時間をかけて考えた結果、一旦白紙に戻し、自分の経験が活かせる舞台で戦おうと、学生に向けたサービス提供を開始しました。マネタイズ方法に関しても、先ほど申し上げた企業との有料マッチングサービスがようやくこの4月からスタートできました。今年はマッチングを加速させて企業との接点をより持っていきたいですね。
軌道修正しながらも、0→1のステージを経て、他のサービスにはない特色を生み出し、着実に次のステージに移られているんですね。いやー、お若いのに凄いですね!
年上の方から凄いとおっしゃっていただく機会が多く、有難いなと思っています。一方、スタートアップ界隈にいると、僕と同じレベルのコミュニケーションができる20、21歳の人たちがざらにいて、皆さんが僕に対しておっしゃっていただくように、僕も「すげーな!」と言っています。
褒められる機会だけではなく、下からの突き上げが見えている状態なので、自分も頑張らなくては!と常に思える環境が幸せだなと思います。
伊藤さん、ありがとうございました!伊藤さんが数年後、どんな素敵で革新的な技術サービスを提供しているのか、今後もKvizは追っていきたいと思います!
まずは、企業との接点といった面でKvizともご一緒できる機会を作りたいと思います。今後もお楽しみに!
ArchiTech株式会社のWebサイトはこちら→https://architech.co.jp/
BEAVER CAREER(企業向け)はこちら→https://company.beaver-archi.com
BEAVERのWebサイトはこちら→https://beaver-archi.com/