第2話 BIMとはなにか教えてください! -【業界インタビュー Vol.6】シンテグレート合同会社 & 株式会社ヴィック


BIMってなにか教えてください!-②

ICTの活用

建設業界の問題点を改善するためにはどうしたらいいかというとアナログからデジタルにしていくしかないと思っています。ICTの活用ってよく言われています。
アナログ時代の設計は、ドラフターを使ってやっていたのがデジタルになりました。デジタルも2Dから始まったんです。
CADは『Computer Aided Design』の略っていうのは知っていましたか?
渡辺健児さん
渡辺さん
あいこ
あいこ
いえ……
CADは、コンピューターを使ってデザインをサポートしようってことだったんだけど、これは2Dベースなんです。
線を手で描いてたのがデジタルの線に置き換わったということです。利点は、コピペができて、シェアしやすいところ。シンプルに良いメリットだと思います。手書きは間違えると手戻りが多く、また、人力で大変なことも多いですから。
渡辺健児さん
渡辺さん

ツールの変遷 - アナログからデジタルへ

そのあとにデジタル3D。建築CGパースっていうのはデジタル3Dのことです。デジタル3Dとは何かというと、3D、CAD、CGというところまでです。まだインフォメーションはくっついてないんです。
渡辺健児さん
渡辺さん
あいこ
あいこ
でた!インフォメーション!
今起こっているのがBIMということです。これもデジタル3Dである種CGなどと一緒なんだけど、何が違うかというとインフォメーションが付随していることです。
インフォメーションは何かっていうと、例えば4Dでは工程管理・施工とか時間という概念が入ってきて、5Dでは、コストっていう概念が入ってきて……と、いろいろ段階があります。我々は、このあたりになります。
渡辺健児さん
渡辺さん

ツールの変遷 -2Dから7Dまで

BIMとはなんだというと、要するに『Building Information Modeling』ビルの情報を持ったモデルということです。
渡辺健児さん
渡辺さん

BIMとは?

要は、3Dにいろいろな情報をガチャガチャなんでも入れていいんです。それぞれ必要な情報がモデルと一緒にあると便利な状況をつくることができるから。
渡辺健児さん
渡辺さん
あいこ
あいこ
なるほど。作業が円滑に進むための情報ならなんでもいいですね!それがインフォメーション!
例えば、企画設計で事業者が「こういうビルがこの事業には必要だね」っていうときは最初のボリューム計算をしたり、〇〇階をショールームで〇〇階をオフィスにしようっていうのを事業の予測とともに3Dでシミュレーションしたりと今はできます。
渡辺健児さん
渡辺さん
あいこ
あいこ
ふぇーー!そこまでの情報もいれられるんですね!
そのあとデザイン検討・基本設計・詳細設計をおこなったり……我々がやっているCGパース・VR・ARとかはこの段階で関わることが多いです。
その段階でさまざまな検討があります。でも同時に構造のことも考えなきゃいけない。構造も今、3Dでいろいろシミュレーションや計算ができます。とても賢いんです。
渡辺健児さん
渡辺さん

企画設計から干渉チェックなどモデルの資料

上の資料のようなモデルをつくって、そのモデルにいろいろな情報を足していくことになります。ここに書いてある干渉チェックとは設備配管と構造体が干渉しているなどがわかったりします。
渡辺健児さん
渡辺さん
あいこ
あいこ
やさしい!
環境シミュレーションなどもおこなったりします。例えば、この方位に開口部を設けると、どの程度の日照が入ってくるか、また、その場合にはどの程度の室温になるかなどもわかったりします。
渡辺健児さん
渡辺さん
あいこ
あいこ
すごいなぁ。
積算もあります。いくらかかるのか、ここをどう変えたらどう影響するのかみたいなことが情報としてわかります。
昔は積算部の人が図面を見ながら「これはいくら、H鋼がいくつあるから今はいくらぐらいだな」って事例や積算コスト本などを調べながら算出していました。
そういうのを自動的に出せるようになっています。
渡辺健児さん
渡辺さん
Excelのサマリーとしてアウトプットでき、メーカー・品番はこれが使われいるなど、ぽーんと出すことができます。
小西恵一さん
小西さん
槙田
槙田
それにコストの情報も入ってるってことですか?
そうです。それをAからBにチェンジしたら、オブジェクトも同じようにBになる。金額とかちょっとした仕様が変わるのでそれも一緒に紐づけされています。
小西恵一さん
小西さん
あいこ
あいこ
連動して変わるんですか!?賢すぎる!!

建設業界の情報の流れ

ここまでは主に設計の段階の話。次は施工の話で、この建物を建てますっていうときに、じゃあその施工をどういう手順でやればいいのかっていうのもシミュレーションできます。
(4Dシュミレーション)クレーンなどのモデルがあって、それを動かしたらどれくらい時間がかかるなどのシミュレーションができます。
渡辺健児さん
渡辺さん
あいこ
あいこ
パソコンの中でトラックとかクレーンが動いて、全部作り上げるってことですか!?
そうです。トラックがここにきたら、そこに干渉する。だからそこまでに搬入させとかなきゃいかない、など。
小西恵一さん
小西さん
どこに搬入して、どこに何を置いておいたら次の作業に一番効率がいい、みたいなことをシミュレーションができます。そういう技術が今はあるんです。うちもできます。
渡辺健児さん
渡辺さん
あいこ
あいこ
ほぇ~!そこまでやっちゃうんですね!
こういったシミュレーションを4Dシミュレーションといいます。施工計画が立ったあとに、実際にそのとおりにものが動いているかどうか、仕事が進んでいるかっていうのも、BIMのモデルを中心にして管理をしていきます。
渡辺健児さん
渡辺さん

BIMのワークフロー

最近では、建物が建ったあと「今度は維持管理で情報を活用していきましょう」っていうことが言われています。維持管理のコストは建設までのフェーズにかかる数倍の金額がかかるって言われています。
渡辺健児さん
渡辺さん
あいこ
あいこ
維持に!?
維持に。だったらそっちのほうで情報技術をちゃんと使いましょうよっていう機運が高まってる。まだまだですけどね。だんだん情報の密度も上がってくるってことですね。
渡辺健児さん
渡辺さん
あいこ
あいこ
すごいなぁ!ここまでが4Dシミュレーションですか?
時間軸とコストも入ってるから、4D・5Dです。こういう建築のライフサイクルの中で、モデルと情報をいかに活用してうまくやってくかっていうのがBIMという仕事。仕事というか概念になります。
渡辺健児さん
渡辺さん
BIMは最初から(企画段階)最後まで使われる場合もあれば、部分的に活用される場合もあります。
小西恵一さん
小西さん
こういうふうにデータ連携してやっていくのはルールが必要だと考えています。データの形式もいろいろあり、その運用の仕方、渡し方、名前の付け方から何から何まで国際的には一定のルールがあります。そこはちょっと日本がまだうまく出来ていないところだと思います。
渡辺健児さん
渡辺さん
あいこ
あいこ
日本は、それぞれがそれぞれのやり方でやっちゃってるということですか?
そうです。
渡辺健児さん
渡辺さん
A社とB社は同じBIMだけど、どこまで何をするかっていうのも違ったりしています。
小西恵一さん
小西さん
槙田
槙田
日本語だからですか?
言葉は関係ないです。これはBIMの成熟度というところと、日本のガラパゴス的なマーケットの性質が関係していると思います。
日本の人たちはある意味優秀で、二次元でがっちり建物をつくりあげることができています。
なぜBIMが世界で先に普及しているかというと、アメリカとかヨーロッパだと現場の人はそもそも英語が出来ない、図面が読めないなどがあるわけです。
であるのならば、モデルでぐるぐるまわして、プラモデルの説明図みたいにやったほうがいい、っていうところからBIMっていうのは広まったという話もあるんです。
渡辺健児さん
渡辺さん
あいこ
あいこ
なるほど!可視化して、具体的なイメージで理解できるようにってことか。
世界中が今BIM化にどんどん向かっているなかで日本がやらないわけにはいかない状況でもあります。頑張ってやってる人もいっぱいいるという状況もあります。
渡辺健児さん
渡辺さん

BIMについて教えて頂いてる風景

いや~、BIMというか、まず技術の進歩にとにかくびっくらしますね!つまりはその技術を駆使した情報とモデルをみんなでシェアして作業を円滑に進める為のものってのがBIMの概念なんですね!今まで小難しく考えすぎていたのか、概念自体は至ってシンプルなんですね!渡辺先生の講義が分かりやすくて本当にありがたです。

第3話では、渡辺さんが実際にどのようにBIMを活用しどんなお仕事をされてるか深堀していきまーす!To be continued☆

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