【建築ビジュアライゼーション業界インタビュー Vol.2】西脇嗣人さん(wanimation)第2話「Unreal Engine?」

このコラムは、建築ビジュアライゼーションに携わるスペシャルな方に、お話を聞いてみよう!というコーナーです。
2話目は、わに(Wanimation)さんに、ツールの話を中心に伺っていきたいと思います♪

Unreal Engine?

あいこ
あいこ
わにさんと言ったら、3ds Max+V-rayもなんですけど、Unreal Engineを使いこなしてビジュアルをつくってるイメージです。VRはやってないんですか?
ほとんど映像アニメです。VRは自分では色々試してるし、やりたい気持ちはもちろんあるんですけど、そこまで本格的には
わにさん
わにさん
あいこ
あいこ
そうなんですか?
うーん…すぐできるとしたら、Twinmotionくらいかな?Unreal Engineでやるのはどうだろう。ブループリントでシステムを作らなきゃいけないからな…。
わにさん
わにさん
あいこ
あいこ
Unreal Engineで映像のビジュアルつくるのとVRは過程が一緒じゃないんですか!?
単純に見るだけだったら、過程は一緒ですよ!そこから家具変えたり、色変えたりインタラクティブなコンテンツが増えていくと技術が必要になる。
わにさん
わにさん
あいこ
あいこ
じゃあ、Unreal Engineでパースとアニメ作るだけなら、ブループリントは必要ないんですか??
映像を作るだけだったら、基本的にブループリント出てこないです。
わにさん
わにさん
あいこ
あいこ
えぇぇ!!そうなんですか!?そこが難しいんだろうなと勝手に思ってました!
そうそうそう!そうやって思うじゃないですか!全然!!パースやってる人なら、Photoshop感覚ですね。効果足して、明るさを調整してって感じ。だから、自分もまだUnreal Engineの『U』ぐらいまでしか使えてない。
わにさん
わにさん
あいこ
あいこ
そうなの!? やったことない人からすると、かいつまんだ情報だから『何やらブループリントというプログラミングが必要らしい…。何それ難しそう!』って大きな壁に感じてて…インストールだけして放置…。
そこはまず、自分が何をやりたいのかを決めるべきだと思う。 VRをやりたいならもちろんブループリントが大きな壁だと思うんだけど、3ds Maxでつくったモデルを映像作品にしてあげたりとか、LUMIONみたいに使いたいんだったら、ブループリントはいらない。
わにさん
わにさん
あいこ
あいこ
えぇぇぇ~!!!知らなかったぁぁぁー!!!もうやるしかないじゃんっ!
Datasmithがあればなおさらいらない。
わにさん
わにさん
あいこ
あいこ
それ、みんなの前で言って欲しい!そうなんだ…
映像までだったらね!
わにさん
わにさん

※モデルRhinoceros×アニメーションUnreal Engine4作品

Rhinocerosのイベント用に制作された作品。急遽だったらしく、3日くらいで作ったらしい….。木やお花もUnreal Engineで入れられるんだって。すごいよぉー

Unreal Engineのレクチャー動画も、今後公開を検討しているそうなので要チェック!これで私も、Unreal Engineの『U』のさらに中の下くらいには、なれるはず~♪

※スナックKviz物語 #03.飲み物で揉める二人。一旦テーブル席で話し合い。激しい攻防戦の開幕か!?

※スナックKviz物語 #03.飲み物で揉める二人。一旦テーブル席で話し合い。激しい攻防戦の開幕か!?

『完成予想図を写真よりもかっこよく描く仕事』

腕を組むわにさん

あいこ
あいこ
わにさんに『お仕事何ですか?』って聞いて返ってきた答え『完成予想図を写真よりもかっこよく描く仕事』これいいですね!
そう!それはね、自分らの職業はそこなんで。昔言われた『建ったものよりもかっこよく描くのが、自分たちの仕事だ』みたいな。
わにさん
わにさん
あいこ
あいこ
設計の人が考えたものが、いかにかっこいいかを施主に伝えるために、ビジュアルを作るんですね。
お金を出してくれてる人がGOサインを出せるような、すごいドラマチックで妄想を膨らむような絵を描かないといけない。
わにさん
わにさん
あいこ
あいこ
ロマンチックとか、あと、ワクワクさせるとか?この仕事は、感動させられたら勝ちかな、っていうのはありますね。
そうそう。例えば、男なら夜景を見に行ったときに、おっさんと見に行った夜景と大好きな彼女と見に行った夜景は、目に映る夜景が絶対違うはずなんですよ。
わにさん
わにさん
あいこ
あいこ
あー!キラキラ感というか、フィルターですね。
そう!そういうキラキラで気持ちいいフィルターを、脳内フィルターとして取り入れられるっていうのが、写真と違ってCGパースの良いところなんですよ。
わにさん
わにさん
あいこ
あいこ
そっか!やろうと思えば、どこまででも脚色ができるから。
可能な限り、ついて良い嘘なら、つきまくる。建築ビジュアライゼーションの中でも色々な職種があるけど、自分はより嘘がつけるところにいるから。図面がない状態の設計の理想をパースに描いているので、アングルから邪魔な柱を取っ払ったり、天井少し高くしてみようかとかできる」(設計者と相談して、指示もらってやってるよ!勝手にはしません。あしからず)
わにさん
わにさん
あいこ
あいこ
手描きのスケッチを見て、CGを立ち上げるってことも多いですか?
そう。ほぼそれ。半分くらい図面ないです。設計から『こんな感じになるはずなんだよね』ってスケッチをもらって、脳内フィルターを自分の中でかけながらやってる。
わにさん
わにさん
あいこ
あいこ
ふむふむ。
図面を表現するのはオペレーターでもできるんですけど、自分らはそれ以上のプラス脳内フィルターを加えてあげて、『あなたが思い描いていたのはこれでしょ!』って出して『これこれこれ!』って返してもらえるようにすることなんですよ。
わにさん
わにさん
あいこ
あいこ
設計さんも出来を見て嬉しくなって、「ここ、もっとこうしよう!」ってなっちゃいそう!
それは、あまり望んだ状態ではないけど…。でも、能力がある設計の人は、完成予想イメージが自分でちゃんと出来てるから、『これこれ!これだよっ!』ってちゃんとなるんですよ。
わにさん
わにさん
あいこ
あいこ
自分が良いと思って設計したものに、フィルターという名の感動もプラスされるなんて、絶対うれしいはずですよね。
「脳内の中でしか存在してないものを自分らは可視化する、自分は図面を可視化してるわけではない」というのは、知ってほしいかな。図面はあくまでも一つの情報なだけで、そこは、BIMとはちょっと考え方が違うかなと思う。
わにさん
わにさん

「柱をなくして」とかパースの見た目だけで考えて、実施設計のときにどうやってすり合わせてるんだろう?って思ってたけど、そこではないんですね。設計の頭のなかのイメージの答え合わせ+ドラマティックフィルターなんだよ。求められている仕事の本質を、今やっと理解しました(遅い)。

※スナックKviz物語 #04.カウンターに連れ戻される。

※スナックKviz物語 #04.カウンターに連れ戻される。

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天野 愛子

天野 愛子Writer, Interviewer

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フリーランス2年生。 建築CGパース制作会社退職後、心が踊る出会いを求め、活動の場を多岐に渡り拡大中。

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