JARA2019(建築パース2019展)『空間体感の表現 ~「見る」から「感じる」へ~』イベントレポートVol.1:xRとは?

2019年8月に開催されました、「JARA 2019 東京展ギャラリートーク」。
本日より、こちらを全4回にわけて、レポートいたします!

JARA2019 東京展ギャラリートーク 空間体感の表現 ~「見る」から「感じる」へ~ 8月28日(水)

JARA2019 東京展ギャラリートーク 空間体感の表現 ~「見る」から「感じる」へ~ 8月28日(水)

まず、お話いただいたのは、大成建設株式会社の山﨑さん。
「xR」という技術を取り入れた、建築ビジュアライゼーション表現を学びます。

山﨑 信宏(大成建設株式会社一級建築士事務所)

山﨑 信宏(現在の所属:大成建設株式会社 設計本部設計戦略部 クリエイティブ・デザイン室)

xR = x Reality
xRは、仮想世界と現実世界を融合させるための技術や概念の総称、と捉えられます。
xとは、未知数を表す記号「x 」を指します。そもそも、VRの実体験は、「仮想空間体験」と捉えられます。ただし、あくまで「体験」であり、「体感」とは別物です。
体験と体感、この2つは似ていますが、現実には違うものなのでは?という問いから、xRは始まりました。数学的アプローチによって、体験は体感の積分をしていくと出てくるものと言われています。

体験=体感の積分値

体験=体感の積分値

ここではまず、xRに関連する4つの仮想体験技術を確認しておきましょう。

①VR = Virtual Reality

「仮想現実・バーチャル空間」と呼ばれ、「目の前にある空間とは『異なる現実』を体験できる」技術になります。良くイメージされるのは、VR用のゴーグルです。こちらを装着することで、現実とは別の世界を体験できるようになります。パラレルワールドの元になった概念で、最近ではコンサートの映像にVRを取り入れて、自宅でLIVE体験ができるなど、用途が広がっています。

②AR = Augmented Reality

「拡張現実」と呼ばれ、VRと違う点として「現実の空間に『新しい追加体験』を提供する」技術になります。日本でも社会現象になった「ポケモンGO」もAR技術を用いたコンテンツとなります。スマートフォンのカメラを通した景色の中にポケモンが登場するという、自分たちの現実世界にゲームのキャラクターが現れる感覚。これが、ARの世界です。

③MR = Mixed Reality

「複合現実」と呼ばれ、現実空間と仮想空間を混合し、現実のモノと仮想的なモノがリアルタイムで影響しあう新たな空間を構築する技術全般を指します。ARと違う点として、現実世界の形状(部屋の形やテーブルの位置)などをデバイスが把握し、それらにデジタル映像をぴったりと重ね合わせることができます。

④SR = Substitutional Reality

「代替現実」と呼ばれ、過去に撮影した映像とリアルタイムを融合して投影することで、過去の出来事を今目の前で起きているかのように、錯覚を引き起こさせる技術です。
わかりやすく言い換えると、VRの仮想現実を、SR技術を用いることにより、実際の現実と区別できない状況にまで取り入れることができます。視覚や聴覚だけでなく、触覚なども組み合わせて使うことが可能になると言われており、まだ実験段階にありますが、実用化されることで、ヘッドマウントディスプレイを外すまで空間の判断ができなくなるような、まさに「現実の置き換え」が可能になります。

VRは、ここ数年で一般化してきている傾向にありますが、まだまだxRの概念も含め、日常で取り入れていくには至っていないのが現状です。
今回のギャラリートークでは、xRの新しい概念について、話を進めていきたいと思います。

槙田 淑子

槙田 淑子Producer, Facilitator, Writer

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建築パース・建築ビジュアライゼーション分野のポータルサイト『Kviz』編集長。デジタルメディアシステム部 所属、社内ワークスタイルサポートプロジェクト「わくすた」リーダー。エンターテイメント・文教などデジタルメディアを使う業界向けの製品プロモーションやセミナーも担当しています。

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